こんにちは!UXデザイナーの植松です。
さて、早速ですが、弊社では7/18(木)にBOOK☆WALKER Design Lab #2『読書のUI/UXデザイン』を開催しました。
この記事では会場の様子やLTの内容をお伝えします!
BOOK☆WALKER Design Labとは
株式会社ブックウォーカーが主催する、デザインに関する学びを深め、共有することを目的とした勉強会です。
前回のレポートはこちら
LT1
月13万件ものレビューが投稿される読書メーターで運営&デザイナーを兼務している荒木さんは、なぜ読書メーターのレビューには255文字という制限があるのか運営・デザイナー2つの視点から考察したそうです。
文字数に制限が設けられた経緯
読書メーターは赤星さんという方が個人で開発していたサービスで、現在はブックウォーカーがサービスを譲り受け運営・開発しています。
255文字という制限は赤星さんが「自分自身があまり長いレビューは書けない&読めない」「気軽にレビューを投稿してもらえるように」という経験・感覚から投稿のしやすさのために設けたもので、弊社がサービスの運営に携わるようになって10年が経とうとしている今でも読書メーターにとって必要不可欠な特徴になっています。
では、なぜ140文字でも1000文字でもなく、255文字である必要があったのでしょうか? 荒木さんはその理由について、運営・デザイナー2つの目線で考察しました。
運営目線で必要な理由:サービスにとって望ましいレビューを書いてもらうため
読書メーターの価値は「新たな本との出会いを提供すること」であり、そのためには「本を読みたいという気持ちにさせるレビュー」が多くあることが望ましいと荒木さんは考えています。
では、「本を読みたいという気持ちにさせるレビュー」とはどんなレビューなのでしょうか。
ここでは、
- 本の内容について触れており、どんな話なのかレビューで概要が分かる
- 読了後に感じたことや、個人の考えを丁寧な言葉で書いている
- 作品の魅力などを伝えようとしている
上記のような特徴をもつものであると定義されています。
そして、255文字という制限は
- 書く側にとっては、余計な情報を入れず、本の内容について触れるのにちょうどいい長さ
- 読む側にとっては、負担にならない文章量で読みやすい長さ
であり、「本を読みたいという気持ちにさせるレビュー」が集まりやすい環境を作るのに最適な文字数なのではないかと考えられるといいます。
デザイナー目線で必要な理由:書く側・読む側のどちらも見やすい画面を提供できる
レビューを書こうとしてスマートフォンでエディタを開いた際に、255文字という制限があると、キーパッドを開いた状態でも文章の全体が見えるので文章の推敲がしやすくなるそうです。
またレビューを読む際にも、255文字の制限があることで画面が文字でいっぱいにならず、圧迫感を感じずに読むことができる・複数のレビューを気軽に閲覧できるというメリットがあることを、文字数制限がもっと多かった場合の画面と比較しながら説明してくださいました。
こちらのLTについては、荒木さんご本人もブログを執筆されていますので、もっと詳しく知りたい方・比較画像を見たい方はぜひこちらからご覧ください!
LT2
2人めの登壇者はNさんです。今年の5月にリリースされたカドコミアプリをデザインした際に、どんなゴールを設定し、どのようなことを意識したのかをお話してくださいました。
マンガアプリの「使いやすさ」とは
Nさんは最初に、普段使っているマンガアプリについて「めちゃくちゃ使いやすい!」と感じたことがあるかどうかを会場に問いかけました。
私たちの多くは、使いやすさについて考えず、何気なくアプリを使ってマンガを読んでいます。カドコミアプリでは、そんな読書に夢中でUIの良さに気づかない状態を理想だと考え、そこを目指したといいます。
デファクトスタンダードを目指す
既に世の中にはたくさんのマンガアプリがあり、ユーザーの中にはマンガアプリに対して「こういう挙動をするだろう」という認識があります。
カドコミアプリでも、ユーザーが違和感なく使えるようデファクトスタンダードを目指す必要がありました。
そこで、マンガアプリのデファクトスタンダードとは
- ストレスなくマンガを読むことができる
- 好きな作品の更新を難なく追える状態である
- 新着作品を読んだり新たな作品と出会うことができる
ことであると定義したそうです。その中で、「当たり前」を定義することの難しさを体感したとNさんは話していました。
その後、競合サービスを調査して
- 作品がどういう状態で、どうすれば読めるのかを明示する
- 自分がどこまで読んだのか、次は何話を読めばいいのかを明示
- ユーザー需要が高い新着更新をアプリホームの上部に置く
等の「当たり前」を実装したといいます。また、先行配信していたWEB版からユーザーの需要を分析したりもしたそうです。
デファクトスタンダードを目指すことの難しさ
デファクトスタンダードを目指してカドコミアプリをデザインする中で、Nさんは特に2つのポイントに難しさを感じたそうです。
- その時参考にした「デファクトスタンダード」が変遷してしまう
・デファクトスタンダードは時代の移り変わりに伴って変化するものであるため、開発中・リリース後に開発当初のものと変わってしまっている可能性があります。 - 「アプリを心地よく使ってもらいたい人」が読書ユーザーだけではない
・読書ユーザー・編集部・作家など、アプリに関わるすべての人の快適さを設計することが必要になります。
今後さらに目指していくところ
最後に、コンテンツ間のマージン調整・読了後の導線強化・フォントサイズの調整等で、デファクトスタンダードをアップデートしてさらに読みやすく使いやすいアプリを作ることを目指し、わくわく楽しくカドコミらしさをつくっていきたいという今後の展望をお話してくださいました。
これからカドコミアプリがどんなサービスになっていくのか、こちらも楽しみになるLTでした!
LT3
最後の登壇者はYさんです。今年入社されたYさんは、以前働いていた会社での経験と今担当しているBOOK☆WALKERでの経験を比較し、新規サービスと既存サービスではデザインの考え方にどのような違いがあるのかについて発表してくださいました。
シリーズ予約プロジェクトの実装からみる新規/既存サービスデザインの違い
Yさんはブックウォーカーに入社後、シリーズの自動予約購入機能の露出を増やすというプロジェクトのデザインを担当されました。
その中で、
- 以前働いていた会社での新規サービスでのデザイン
- 機能だけ決まっていて、誰に対して何をするために追加するのかが決まっていないことが多かった。デザイナーがデザインを考えて、サービスの方向性を明確にする
- BOOK☆WALKER(既存サービス)
- サービスの課題や、運営側の要望・ユーザーの声があった上で課題解決の打ち手が決まり、それを実現するためにデザイナーがデザインを考える
という違いに気がついたといいます。
実際に行ったこと
さらに、シリーズ予約のデザインをどのように進めていったのかについてもお話してくださいました。
最初に他社調査を行ったり、事業部・ディレクター・開発からシリーズ予約を実装する画面についてデザイン以外の指摘をもらって情報を集め、デザインを作成したそうです。
その結果、なんと予約数全体のうちシリーズ予約の割合が3~3.5%増加し、シリーズ予約を初めて利用したユーザー数、サイト全体のシリーズ予約のクリック数も増加しました。
結果を受け、次の課題として長期運用をするためのレイアウトや、他画面にボタンを置くことについても検討が必要だと考えているそうです。
サービスの現在地とデザインの役割
最後に、Yさんは新規/既存サービスのデザインについて
- 新規サービスのデザインの役割は、曖昧さを明確化することで新しい体験を提供すること
- 既存サービスのデザインの役割は、ユーザーの声や社内の要望など明確な課題がありそれを解決すること
という違いがあること、
けれど、サービスの現在地は違っても、持っているサービスの特徴・価値を求められている場所やタイミングで提供することこそがデザインであると話されていました。
自分の作っているものは本当にユーザーに価値を提供できているのか、もっといい方法はないかなど、改めて考えたくなるようなLTでした!
パネルディスカッション
パネルディスカッションは第1回では行っておらず、今回が初めての試みです。
登壇者のみなさんには、先ほどのLTよりもゆるい雰囲気の中
- 日常生活で「あ、このUI/UXは素晴らしい!」と思ったアプリやウェブサイトは何ですか?
- インスピレーションはどこから得ていますか?本、ウェブサイトなど具体的な例を教えてください。
などの質問にお答えいただき、会場も盛り上がっていました!
懇親会
すべてのプログラム終了後は、ピザを食べながらの交流タイムです!
私も他社のデザイナーの方々とお話でき、よい刺激になりました。
最後に
ブックウォーカーではこういったイベントを今後も開催していく予定です!もしこのレポートを読んで気になった方は、お気軽にご参加いただけますと嬉しいです。
そして、ブックウォーカーでは現在デザイナーを募集しています!
弊社のお仕事・サービスに少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ採用サイトをチェックしてみてください♪