なぜ読書メーターのレビューは255文字なのか

こんにちは!読書メーター運営兼デザイナーの荒木です。

今回は2024年7月に行われた弊社イベント「BOOK☆WALKER Design Lab #2」で、私が発表した内容を紹介しようと思います。

BOOK☆WALKER Design Lab #2とは

弊社では2024年から、デザイナーが主催する勉強会「BOOK☆WALKER Design Lab」を実施しています。今回はこのイベントの第2回目となります。

第1回目は2月に「UIデザイン」をテーマに実施しました。第1回の内容はこちらのイベントレポートにまとめられていますので、興味のある方はぜひこちらもご覧ください。

私が参加した第2回目のテーマは「読書のUI/UXデザイン」。デジタル時代の読書を快適で楽しい体験にするために、どんなアイデアや工夫があるのか?を、私を含めた弊社デザイナー3名よりLT(ライトニングトーク)で発表いたしました。

私が発表したLTは、表題にもある「なぜ読書メーターのレビューは255文字なのか」です。読書中のUIUXではなく、読書前後の「レビューを読む・書く」というUIUXにおいて、読書メーターの「レビューの文字数制限」がどういった役割を持っているのかを発表しました。

このLTにした経緯

私は現在、読書メーターという読書記録サービスの運営チームとデザイン部を兼務しています。

元々グラフィックデザイナーとして弊社に入社し、そこからWEB・UI・UX、そして現在は運営チームと様々な職能にチャレンジさせてもらいました。私のキャリアや、運営チームについてはこちらの記事で紹介しておりますので、もし弊社デザイナーのキャリアパスの1例に興味がある方はご覧ください。

グラフィックデザイナーとして読書メーターに携わっていた時は、レビューの文字数については特に気にしておらず、「サービスの特徴の1つ」ぐらいにしか考えていませんでした。

しかしUXデザインを学び、そして運営チーム主務になった今、「なぜ255文字という文字数制限を維持すべきなのか」を考えるようになり、今回の勉強会をキッカケに運営&デザイナーとして整理・言語化してみようと考えたのが、今回のLT作成の経緯でした。

では、ここからは私が発表したLTの中身を紹介していきます。

はじめに:読書メーターとは

まず初めに、読書メーターというサービスについて簡単に紹介いたします。

読書メーターは書評サイトとしては、ユーザー数・レビュー数が日本最大級の読書記録サービスです。MAU(月あたりのアクティブユーザー数)は非会員430万人・会員15万人で、レビュー投稿数は月13万件ほどあります。

読書メーターの主な機能は以下4つです。

  1. 読書量をグラフで記録・可視化
  2. 本を「読んだ」「読んでる」「読みたい」「積読」の4つで管理
  3. レビューを書く&他の人のレビューを読んで新たな本を知る
  4. 新刊情報をチェックする

読書メーターの主な機能4つ

そして、上記にある3つ目の機能「レビュー」を書く際には、今回のLTのテーマでもある”255文字”という文字数制限があります。

255文字の必要性

この文字数制限はサービスリリース時の2008年からずっとあるもので、サービス創設者の赤星さんが「自分自身があまり長いレビューは書けない&読めない」そして「気軽にレビューを投稿してもらえるように255文字にした」というのが、この機能の設計理由でした。

今ではこの文字数制限は読書メーターにとって必要不可欠な特徴となっています。今回は、この文字数制限が「なぜ必要不可欠なものになっているのか」を、運営・デザイナーそれぞれの視点で説明します。

①運営目線で必要な理由

まず、運営目線で文字数制限が必要な理由は「サービスにとって望ましいレビューを書いてもらうため」です。

読書メーターの価値は「新たな本との出会いを提供すること」と考えており、そのためには「本を読みたいという気持ちにさせるレビュー」が多くあることがサービスとしては望ましいと考えています。

もちろんレビューの書き方は人それぞれで、どんなレビューでも書いていただくだけでサービスとしては大変嬉しいです。ですが、ここでは文字数制限のメリットを説明するために、あえて「望ましいレビューの具体例」を下記3つにまとめました。

  1. 本の内容について触れており、どんな話なのかレビューで概要が分かる
  2. 読了後に感じたことや、個人の考えを丁寧な言葉で書いている
  3. 作品の魅力などを伝えようとしている

このような特徴があるレビューは「本を読みたいという気持ちにさせやすいレビュー」だと考えています。

また、こういったレビューはサービスとしてだけではなく、レビューを書く&読む人にとってもメリットがあると考えています。具体的なメリットは下記の図にまとめました。

レビューを書く側と読む側のメリット

②デザイナー目線で必要な理由

続いて、文字数制限がデザイナー目線で必要な理由は「レビューを書く側・読む側のどちらにも見やすい画面を提供できる」です。具体的には

  • レビューを書く側:1画面の中で文章の見直しがしやすい
  • レビューを読む側:タイムラインで複数のレビューを見やすい

と考えています。これから上記2点の具体例を説明するのですが、先に補足・前提をお話しさせてください。

現在、読書メーターでレビューを習慣的に書いてくださっている方の多くがアプリを使用しています。そのため、今回のLTでは「アプリでの見え方」について紹介しました。

そしてアプリのサイズは、2024年2月でシェアがトップの375×667(iPhone6~8などのサイズ)で紹介しています。また文字サイズに関しては、現状の読書メーターのiOSで設定しているサイズの前提でご説明します。

その1:1画面の中で文章の見直しがしやすい

まずレビューを書く側へのメリットとして、255文字という制限により見直し・書き直しの際に画面を大きくスクロールする必要がないと考えています。

スマホで文字を打つ場合、画面の下半分はキーパッドで埋まってしまいます。そのため、長文になると画面をスクロールしながら文字を打ったり消したりしなければなりません。ですが255文字であれば画面の上半分でほぼ全文章が収まるため、見直し・書き直しがしやすいと考えています。

編集画面でレビューが見直し・書き直ししやすいイメージ画像

その2:タイムラインで複数のレビューを見やすい

次にレビューを読む側へのメリットとして、それぞれのレビューの最大文字数が255文字であることにより、タイムラインで多くのレビューを一気に見やすいと考えています。

読書メーターには、他の会員さんが書いたレビューを見られる「タイムライン」というページがあります。もしここに流れてくるレビューが500文字だった場合、1画面の圧迫感が強くなってしまいます。その圧迫感を軽減するために「続きを読む」といった文章を省略&展開するボタンを設置することも可能ですが、気になったレビューを都度このボタンを押して読むのは手間だと考えています。

そのため、各レビューが最大255文字であることによって、タイムラインではスクロールするだけでレビュー全文が見られるようになり、多くのレビューを見る際の負担が軽減すると考えています。

500文字だった場合と、「続きを読む」ボタンで省略した場合のイメージ図

最後に

私が発表したLT「なぜ読書メーターのレビューは255文字なのか」の紹介は以上となります。ここまで長文を読んでくださり、ありがとうございました。

今回は「サービスの現状をふまえて、255文字のメリット&必要性」を紹介しましたが、サービスの今後の成長を考えると、レビューをもっと楽しく&どんどん書けるように文字数制限以外でも更なる工夫が必要だと考えています。

私自身、1人の読書好きとして「レビューを書く」ということは読書体験をさらに良くできる素敵なことだと考えているため、より多くの人にレビューを書いていただけるサービスを目指したいと思っています。

もしこの記事をきっかけに「読書メーターの運営・デザインに携わってみたい」と思っていただいた方は、ぜひ弊社の採用サイトを覗いてみてください。ご応募をお待ちしております!